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死に至る病 

2014, 10. 14 (Tue) 21:23

 すいません、突発的に書きたくなって書きました。孟花の鳥籠END後のSSです。あまり読後感は良くないと思いますので、危険を感じた方はここでブラウザを閉じてくださいね。ドン! とこいというありがたい方は読んで頂ければ嬉しいです。

 再UPばかり、パス付きばかりですが、覗いてくださる方、拍手を下さる方に大感謝です。ありがとうございます。


死に至る病

「かごめ、かごめ。かごのなかのとりは、いついつでやある。よあけのばんに、つるとかめがすべった。うしろのしょうめん、だあれ」
 花が口ずさむのは童歌。確か、この唄は遊郭を出ることが叶わない遊女が自分の身を哀しんでできた唄という説もあったけ……、閉じ込められてから緩慢になった思考でぼんやりと考える。
 人間は閉じ込められているといろんな感覚がマヒしていくんだ、そんなことも考える。何しろ考える時間だけは沢山あるのだから、あの時こうしておけばよかったんじゃないかとか、こうしていたらこんな風にならなかったんじゃないかとか、さんざ考えて、泣いて、嘆いて、心の中をまるで嵐が駆け抜けるようだったけれど、時間と共にその嵐も凪いだ。
 それでも孟徳を好きだという気持ちは変わらない。自分が彼の心を歪ませてしまったこともわかっている。
 なら、花が選べる道は彼の傍にいることだけなのかもしれない。
 彼は……。
 誰も信じない。
 自分も信じない。
 花も信じない。
 ひとりぼっちでかわいそうな愛しい人。
 花がいるのが鳥籠ならば、孟徳がいるのは奈落の底だ。そこはあまりにも深くて、闇に満ちていて、花の手はもう届かない。孟徳が差し伸べた手を払ったのは花が先……。
 闇に満ちた奈落と光射す鳥籠の中。どちらがましなのだろうか。ふぁりと格子から差しこむ光に思う
 季節がめぐるのだろう。光の色が変わって行く。星は動き、月は満ち欠けを変えていく。花が許された景色。花の小さな世界。
 では……。
 孟徳がいる孤独と言う名前の奈落の底からは何が見えるのだろうか。
 何が聞こえるのだろうか。
 それは―――。
 緋色に染まった絶望と言う名前の空。
 闇に響く怨阻の声音。
 それとも誰にも届かない孟徳の叫び声だろうか。
 あゝ、それでも一番に辛いのはおそらく絶望と言う名前の緋色に染まった空を見つめることだろう。
 孟徳はそれをこれからも見続けるのだ、たった独りで。
「…………」
 ぽつと花の虚のようになった瞳に涙が浮かんでこぼれた。
 そうだった、死に至る病のことを絶望という。
「私が……、きっとあの人を死に追いやる」
 深い絶望は病と同じ。あの人がかかっている病は死に至る病だ。
 それでもかごめうたの鳥のように、籠の鳥はどうしても、籠から出ることはできなくて、……。
「私が、私が……」
 そう花が孟徳を絶望という名の死へ追いやるのだろう。
 そうして、いつか、花も孟徳と同じ病になるのだろうか。それとももう同じ病に罹っているのだろうか。
 それならばいい。
 絶望と言う名前の病で死を得るのだとしても、孟徳と一緒であれば、それは多分、花にとってこの上ない至上の喜びとなる……。
「花ちゃん」
 今宵もまた絶望に至る病と共に孟徳が花の元を訪れる。
~了~

 鳥籠ENDに関係するSSは真正面から書いてみたいんですが、難しいですね。
 本当は元譲さんに出てもらう予定でした。そうなると本格的な連載になりそうなので、一旦、思いついたことをSSにまとめてしまおうと思いまして(^^ゞ
 連載は基本的にパス付きの『薄桜鬼』の連載を仕上げるのが先だと思ってます。すいません、パス付きばかりのサイトでm(__)m

 ちなみに『死に至る病』はキルケゴールから取っています。
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