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Something Four 山田花の場合 

2014, 10. 18 (Sat) 21:44

最近、『孔明のヨメ。』を読み始めました。ヨメちゃんが可愛くて、うちの花ちゃんもそんな風に書けないかなぁと思いながら書いてました。

 こちらは前回の続きになってます。

 いつも拍手を下さる方、大感謝です。ぱちぱちを頂くだけで嬉しい。ありがとうございます。


Something Four 山田花の場合

 それはえっらく不機嫌な仲謀の問いかけだった。
「おい、花! 大小が言ってる、さむしんぐ、ふぉーってのは何なんだよ!?」
 この段階で花がやってしまった! と思うのは仕方のないことだろう。あれは単なるガールズトークだった、はず。
「それは、えと、その……」
 この忙しいのに更に仲謀を忙しくさせるような事になりそうで、花はもじもじと言葉を探していい淀んだ。それが余計に仲謀の感に触ったらしく、俺様は怒ってんだという顔がさらに険しくなる。
「この俺様がお前のやりたいこともさせてやれない情けない男だと思ってんのかよ!」
 さらに怒らせた。これは完全に怒りMAX状態だ。でも、あれはあくまで花の世界の話で、あくまでやってみたかったレベルの話なのに……。どうして、仲謀ではできないという話にすり変わってしまったのだろう。やはり二喬を前にして気軽に自分のいた世界の事を話題に出すのは危険だと花は、こんどこそしっかりと頭に叩き込んだ。
「そ、そんなことないよ。それに、あれは私の所でもやる人とやらない人がいることだし、私は仲謀のお嫁さんになるんだから、こっちのしきたりで結婚式をするのが当たり前でしょう」
「大小は婚儀には絶対に必要なことだって言ってたぞ。何でも幸いになるためのまじないだとか」
 うかつだった、と花は思った。花の認識しているおまじないと、仲謀たちが認識しているおまじないの持つ意味の重みが違うのだ。
 このおまじないを花の世界では必ずしなければならないものではないし、仲謀に話をした時には驚いたが婚姻届を出すだけで式をあげない者だっているくらいのだから。
 だが、この世界は花の暮らしていた世界とは違っていて、ようやく三国が平定されて落ち着いたとはいえ、明日が今日と同じにやってくるとは限らないのだ。だからこそのまじない。でも―――。
「あんなに立派な婚儀の衣裳や道具も準備して貰っているのに、これ以上わがままなんて言えないよ」
「俺様はそんなに情けないかよ」
 仲謀の声が落胆へと落ちる。ずるいと花は思った。これだと甘えて、花が憧れていたサムシングフォーをしたくなる。それにもう四つのうちの二つはそろっているのだ。
 けれど、花はこの世界で生きることを選んだ。だから、それを仲謀に頼むのは間違っていると思うのだ。
「ち、違うよ。だって、サムシングフォーも私の国のしきたりじゃなくて、外国から入ってきたものなんだよ。尚香さんや大喬さん、小喬さんに話したのはマザーグースっていう童歌の中にあるおまじないなの。四つの物と身につけた花嫁さんは幸せになれるって言うの。それに仲謀がもう二つは用意してくれたよ。新しい綺麗な婚礼衣装は『なにか新しいもの』でしょう。仲謀が私にくれた首飾りはとっても大切な孫家代々伝わる『なにか古いもの』でしょう」
 にこにこと微笑みながら花が語りかける。この二つだけで十分だ。
「その首飾りが『何か古いもの』ってのは気にいらねぇが、あと二つはなんだよ。支度してやるから言えよ」
 拗ねて横を向いた顔が赤い。口が悪くても、誰よりも優しくて、誰よりも花を大切にしてくれる仲謀。
「二つもあれば十分だよ」
「俺様がいいって言ってんだから、言えよ! あと二つは何なんだよ」
 顔がまだ赤い。きっと仲謀は花が願えば、花の慣れ親しんだ世界のような婚儀をあげても構わないと思ってくれているのだろう。
 それが嬉しい。なら……。
「じゃあ、お母様が使っていらっしゃる白い物を借りてきてほしいな」
「なんだよ。借りるだけでいいのかよ?」
「うん。たとえば腕輪とか、耳飾りとかでもいいし、髪を止めるものでもいいの。白くなくてもいいんだけど、私の国では婚礼の時は白いものを身につけるから」
「はぁ、婚儀に白って変わってんな、お前の国は……」
 この世界で白は喪服だ。だからだろう、仲謀が端正な顔に珍しく公僅のような皺を寄せている。
「え、それは、あの、私の国ではお嫁に行く時には、あなたの色に染まりますって意味で白い物を着るんだもん」
 これだけは恥ずかしいから言いたくなかったのに、花は顔を紅く染め上げて視線を泳がせながらもごもごと口の中で呟いた。だが、それはしっかりと仲謀の耳にも届いていたらしく、今や二人の顔はまるで夕日にたらされているように紅い……。
「お前~。恥ずかしいことをさらりと言うなよ」
「言わせたのは仲謀だよ!」
「わかった、わかったから、怒んなよ。で、最後の一つはなんだよ」
 誰もいない一室でもやり取りなのに、なんでこんなにドキドキしながら会話をしなきゃならないんだと思いながら、さっさと切りあげるべく仲謀が聞く。
「あとは綬裙の目立たない所に青い紐を結んでもいい?」
 これでサムシングフォーの出来上がりだ。青い物は人目につかない所に身につけるのが原則。
「それでいいのかよ。裾に蒼玉を縫いつけるとかじゃなくていいのか?」
 蒼玉って、蒼玉って、花は以前孫夫人のところで見せてもらった玉を思い出す。あれは確か……、サファイヤ!
 花は思わずブンブンと首を振った。そんな高価なものは受け取れない。第一、花にはもったいなさすぎる。
「これで全部か? 借りるものは母上に俺から頼んでおくし、青い絹糸で紐を作らせておくから、それで全部揃うな」
 絹なんて高価なもので紐を編んでくれなくてもいいんだけど、と内心で思う花ではあったがサファイヤを衣裳に縫い込まれるよりもいいと心の中で折り合いをつける。そうして、こんなわがままを聞いてくれる仲謀はやっぱり優しいと思った。だから、素直に礼を口にした。
「うん、それで全部揃うよ。ありがとう、仲謀! すっごくうれしい」
 仲謀が花を幸せにしていたいと思うように、花も仲謀を幸せにしたいのに、だから花はこう言葉を続けた。
「えと、それから……。あ、あのね。仲謀! 男の人にサムシングフォーはないけど、私が仲謀を幸せにするね。絶対に仲謀の幸せは私が護るからね!!」
「////////」
 純情で真っ直ぐな孫家の当主が、天然な花嫁の言葉にどう切り返したのかは、また別なお話。

~Something Four 山田花の場合~ おしまい

サムシングフォーでは借りるものは出来れば結婚している人から白い物を借りるそうですね。で、青い物は人目につかない所に付けるそうで、結婚指輪の内側に小さいサファイヤはめ込んでる子もいます。(見せてもらったの)
続かないとか書いてましたが、花ちゃんと仲謀の掛け合いを書きたくなって書きました。
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