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心想事成 百年好合 

2015, 01. 01 (Thu) 00:00

 あけましておめでとうございます。
 新しい年が始まりました。皆様にとって素敵な一年になりますように(*^_^*)
 
 こちらにUPしているものは、どれも拙い作品ばかりですが、すこしでも楽しんで読んでもらえればすっごく嬉しいです。

 新年はずっと書きたかったこの二人のお話からどうぞ。
 
心想事成 百年好合

 門には虎の絵を描いたものを下げて、葦索(しめなわ)をつける。そして、爆竹として竹を火にくべて、音を立てて魔を払う。
 一見、似ているようで花の知っているお正月の迎え方が違う。葦索(しめなわ)をつけるのは同じだけど、虎の絵を飾ったりしないし、爆竹を中華街で鳴らすのは知っているけど火薬の発明はこの時代よりもまだずっと先のこと。だから竹を火にくべて音を立てるのだろう。
「とっても面白いです、孔明さん!」
 大きな音を立てる竹を眺めながら、満面の笑みで花が孔明へ語りかける。
「なら、よかった。これで魔を追い払うんだよ。君の故郷では、じょやのかねだっけ、それを百八回鳴らすんだったよね?」
「はい。人間の煩悩が百八だから、その数だけ鐘をついて、煩悩を払うんです。あ、でもこちらとよく似た街だと同じように爆竹を鳴らしたり、港だったら船がいっせいに汽笛を鳴らすんですよ」
「へぇ、ところ変わればだねぇ。でもさ、人間の煩悩が百八って、君は言うけど、孟徳殿なんてそれ以上のような気がするよ、僕は」
 今では魏の国主となった赤い人をさりげなく落としながら、孔明がいう。花は思わず、あはは、と笑うしかなかった。
 本当なら二人とも主である玄徳主催の酒宴に参加していなければいけない刻限なのだが、花と孔明が主公認で婚儀の約束をして初めて迎える新年なのだ。こちらでの年越しを経験させてやりたいと申し出る孔明の言葉に、主である玄徳が是と言ったために宴席を中座している。その僅かな二人きりの時間。花の為に孔明は邸に新年を迎える準備をした。
 孔明が思っていたように花は初めて見るものに大きな瞳を輝かして見つめ、嬉しそうに彼の言葉に耳を傾ける。孔明も花が語る故郷の新年に迎え方を面白そうに聞いてくれる。
「でも、こんな夜中でも昼間みたいに明るくして過ごせるなんて夢みたいだね。港で、かうんとだうん、とかいう新年が来るまでの時間も数えるんだっけ、そんなことをするのも面白いよ」
 孔明は花が見ていただろう、その光景へ想いを馳せる。
 新年を迎えるその瞬間!
 いっせいに港へ停泊している船が汽笛を鳴らし、その傍にある街からは爆竹の音が派手に響く。その場に居合わせた見知らぬ者同士が新年を祝う言葉を叫び、喜びを交わし合う。
 争いも、腹の探り合いもない。ただ新しい年が来たことだけをそこに集う人は互いに祝うのだ。
 それはなんて素晴らしい光景だろう。
 長い戦が続いていたこの国では夢物語のようだ。
 花が来たのはそんな平和な世界。でも、その世界よりもこちらを、自分を選んでくれた。共に戦のない国を実現させる為に。
「私も一度しか行ったことないですよ。でも、海の上に浮かんだ船の灯りがきらきらして、まるで海の上にも空があるみたいでした」
「海か……。僕もまだ見たことがないなぁ」
「いつか一緒に行きましょう、孔明さん。あの、心想事成、です」
 花の頬が染まって見えるのは寒さの所為だけではないだろう。孔明は微笑んだ。花が頑張ってこちらの言葉を学んでいることは知っている。不慣れだけれども優しいその響きが耳に残る。
「そうだね。いつか必ず二人で海を見に行こう。百年好合、僕は君と一緒にいるって決めているんだから」
 孔明の唇がそっと花の頬に触れる。冷たいけれど、微かな熱を感じる花の頬。
 泰山の山中で出会い、そして花の弟子となり、別れるしかなくて、そこから再会するまでの時間はとても長かった。でも孔明と再会した花は帰り路を探していた……。
 花と自分たちは生きて行く場所が違う。それを知ってから、ずっと花はこの世界にいてはいけないのだと思っていた。
 だから、いまこうしてこの言葉を言えることが純粋に嬉しい。
「そう、白头偕老になるまでね」
「はい。私も同じです……」
 空には満点の星。凍えるような寒さも二人一緒なら大丈夫。握り合った手が互いの温もりを伝えてくれる。
「そろそろ日付が変わる」
 孔明が星を見上げてそう花へ笑いかける。
「新年快乐、花」
「新年快乐、孔明さん」
 この次の新しい年もまた一緒に、これからはずっと、ずっと二人で……。
 ~完~

心想事成:願い事が叶いますように。
百年好合:生涯一緒に。
白头偕老:日本で言うところの共に白髪になるまでと言うこと。
新年快乐:明けましておめでとうございます。

新年のしきたりなどは杜康潤さんのコミックス『孔明のヨメ。』を参考にさせていただきました。この後、花ちゃんと師匠は椒酒(山椒をお酒につけたもので、お屠蘇みたいなものだそうです)を二人で飲むのかな?

孔花はいつまでもいちゃいちゃしてればいいと思う。
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コメント

アリアンロッド

Re: あけましておめでとうございます!

みけさん、おめでとうございます。こちらこそ、今年もよろしくお願いいたしますm(__)m

師匠が大好きで、どうしても今年はこの二人から始めたかったので、こんなお話になりました。ほっこりしていただいて嬉しいです。
この二人は本当に百年くらい幸せでいてほしいありあんです(笑)




2015/01/04 (Sun) 22:03 | アリアンロッド | 編集 | 返信

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