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諸葛菜の贈り物 

2015, 04. 10 (Fri) 21:23

 ずっと、鍵付きの再UPものばかりだといけないので、小ネタを出してきました。
 本当に師匠が花ちゃんに花を上げるだけのお話です(笑)
諸葛菜の贈り物

 紫花菜の花が畑に広がると見事なラベンダー色のじゅうたんが広がっているように見える。
「きれいですね」
 花がほんわりとした笑みを浮かべると、傍らの孔明に声をかける。
「これが紫花菜だよ。そろそろ若芽は食べごろかな」
「え、これを食べちゃうんですか!? こんなにきれいなのに」
「え、観賞用に楽しめるものを畑に植えるほどうちの台所事情は楽じゃないと思ったけど」
 花の驚いた言葉にけろりと返すと、すたすたと孔明が畑の中に入って行く。
「若芽の時には食べることができて、種は油として使える。本当に便利な野菜だよ。しかもほとんど手間がかからない。けど、油がとれる種が高く売れるしねぇ、もう言うことなしだよ」
 孔明の手が慈しむように紫色の花へ伸ばされる。
「こんな風に小さな可憐な花も、種が実ればとっても役にたつ。まるで君みたいな花だと思って、見せたくなったんだよねぇ」
「し、師匠!!!」
 花の顔を瞬時に赤くなった。その顔を見ると、孔明はまるで亮の時のような笑みを浮かべて見せた。そうして、
「なーんてね」
 ちゃかすように花へ向って小さく舌を出して見せると、孔明はそのまま広い畑で働いている人々の方へと歩んでゆく。
「諸葛菜、だっけ……」
 この花を孔明が栽培して広めた。そんなことを習った記憶だけがある。花は餓えたことがない。
 だから、想像するしかない。ひもじい思いをすること。灯りも灯らぬ寒い夜にたったひとりで不安と闘いながら眠ること。明日の朝に目覚めることができることを喜ぶことができる心を……。
「こんなに小さな花だったんだね」
 しゃがみこんで、花は先に孔明がしていたように花弁にそっと触れる。
「たくさん、咲いてね。来年も、再来年も、同じ景色を見ていたいから」
 戦になれば、まず荒れるのは田畑だ。だから、こうして短期間で実となり、食べることができる植物が必要になるのだろう。
「出来ることから一つ、一つ、頑張ろう!」
 まるで孔明が自分の頭を撫でる時のように小さな花をそうっと撫でると花は立ち上がった。
「はなー!」
 遠くから孔明が花を呼んでいる。
 その手には満開に咲いた紫花菜の束が握られている。
「はーい!」
 大事な、大事な師匠と同じ名前の花を踏み荒らさないように、それでも一瞬でも早く孔明の元へ花は走りだした。
おしまい

後書き
 先日の夕方のニュース番組で紫花菜のことをやっていて思いついた小ネタ。蕪も諸葛菜といわれるそうですね。(この辺は遅れてきたサンゴクシャンなので……)
 多分、この後、花ちゃんは紫花菜を貰うのでしょう。で、今夜の夕飯の材料ですね、と聞いてお仕置きされるといいと思う(笑)
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