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蝶恋花 

2015, 05. 16 (Sat) 22:41

 急に暑くなりましたね。暑さと工芸茶が飲みたい! というのが合わさってお話ができました。
 久しぶりの丞相です♪
蝶恋花

 白い花を一輪。吟味して選んだ茶器に冷たい水を張って浮かべる。
 暑い日が続く。でも、こちらの世界ではクーラーなんて便利なものはなくて、思いついたのが中華街でかなや彩と一緒に飲んだ花茶。こちらの世界ではまだ作られていないから、せめて目だけでも涼しく思えるように……。
 きらきらと光る綺麗な茶器に冷たい井戸水。その上に大きな白い花を一輪、その上に小さな赤い花が蝶のように乗せて、工芸茶のように水の中で咲かせる。
「これは何? 花ちゃん」
 執務の邪魔にならないように、そっと置かれたそれにやはり彼は気が付いてくれる。
「これで気分だけでも涼しくなればいいな、とか思って」
 執務の邪魔になるだけだったかな、とほんのちょっと後悔する。
「うん、いいね。ありがとう」
 にこりと孟徳から笑顔が返ってくる。その笑顔がすきだなぁと改めて花は思った。
「きれいだし、本当に涼しげだ」
「孟徳さんが涼しいと感じてもらえれば嬉しいです」
 忙しい時間ばかりのほんの僅かな時間。たくさんの時間を花の為に費やすことはできないから、花の時間を切り取って孟徳へ渡せたらいいのにと思う。
「本当は花茶があればいいなって思ったんです」
「花茶?」
 花の言葉に孟徳が小首を傾げた。
「はい。お茶とお花を毬にして、お湯を注いだ時に花が開くんです。細工によっては白い花に赤い花が蝶のように止まっていたり、花輪になっていたりして、とっても綺麗なんですよ」
「へぇ、それは贅沢な茶葉だね。でも、俺にはこれが最高の品だよ。花ちゃんが俺のためにだけ入れてくれたお茶だものね」
「飲めませんけど、ね」
 あははと小さく笑う。いいや、と孟徳は静かに首を振った。
「飲めなくたって、最上級のお茶だよ。ねぇ、花ちゃん。これには名前とかあるの?」
 その問い掛けに花の顔が真っ赤に染まった。
「ちょう……か……」
 赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて、声が小さくなる。
「え、よく聞こえなかったんだけど……」
 うう、と花は唸った。孟徳さんは意地悪だとこんな時は思う。
「蝶恋花ッて云うんです!」
 じゃあ、お仕事頑張ってください! とまくし立てるように言い放つと花は孟徳の執務室から走り出た。
「蝶が恋をする花か」
 くっ、くっ、と走り去った花の背中を見送って孟徳は笑った。
 確かに蝶は恋をしたのだ、一輪の花に……。
 その花は可憐で愛らしくて、いつもこの蝶恋花のように孟徳の傍にいるのだ。
おしまい

 久しぶりに工芸茶が飲みたくて、そーいえば蝶恋花ってまんま花ちゃんだなと思いまして(笑)
 で、お話を師匠と孟徳さんで考えました。師匠の方も書いていますが、いつ頃UPできるかはわかりません。気に入っていただけたら、ぱちぱちして頂けると嬉しいです^^;
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