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正体見たり……。1 

2016, 08. 07 (Sun) 23:20

 夏です! 怪談好きです。因みに学生時代はあちこちの出るという噂の遊園地へ遊びに行きまくりましたが、遊園地でその手のものに出会ったことはありません(笑)

 夏らしい話と書いて、お蔵入りにしていたものです。
 こちらも続きですいません。
 じつはこんな感じの沖田さんっていじわるだけど、子供っぽくて好きなんです。なかなか、こ―いう感じのお話書きませんけど(書けないという方が正しいですね)
正体見たり……。第一話

 千鶴は耳を押さえたいのを必死に我慢していた、二人っきりのデートだというのになんで、大嫌いな怪談なんて聞くことに……。

「だからね、千鶴ちゃん  こーいう場所にある幽霊屋敷って霊が集まりやすいんだって、しかも幽霊が夏に出るって言うのは嘘で冬の方が出やすいらしいよ 」

 なんでこの人はこれから怖いことで有名な歩いていく幽霊屋敷に入るのに、嬉々として怪談話を披露してくれるんだろうか(T_T)

「お、沖田先輩……」

「あ、ペナルティ一個!」

 千鶴がしまった! と思った時は遅かった。沖田と付き合うことになった時に、学校では仕方ないものの学外では『総司さん』と呼ぶ約束をさせられていたのだ。

 しかも呼び間違うことにペナルティとして、沖田の言うことを一つきくことになっている。今日のデートもその一つだ。

 ハンパないほど怖い絶叫マシンで有名な富士○ハイラン○へ来る羽目になったのは……。

 千鶴は極度の怖がりだ。自覚はある。そして絶叫マシンもお化け屋敷も苦手だ。だから、こうしたものに乗ったり、入ったりすれば、恥ずかしがり屋の千鶴でも恐怖のあまりにまるで母親にひっつく子供のように沖田の腕にしがみつくことになる。

 沖田はどうもそれがうれしいらしいのだが……。つくづく屈折した性格である。

「千鶴ちゃんo(^▽^)o 幽霊屋敷のあとはもう一回絶叫マシンね 」

 何ともうれしそうにけろっと沖田は蒼い顔をした千鶴にそう最後通告のように告げたのだった(笑)

  ☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

「きゃぁー!」

 一歩進んでは千鶴が沖田の腕にしがみついて、悲鳴を上げる。

「うーん、メイクがいまいち」

 うれしそうにそんな千鶴と共に歩みながら前方から来る幽霊役のスタッフに冷静に評価を下す沖田。全く対照的なカップルであった。

「そ、総司さん!! やだやだ、もう!!!」

「えー! まだ出口までは遠いよぉ。ここでリタイヤしたらチケットもったいないじゃない。あ、君。なんだか役者崩れっぽくて迫力ないから脅かし方もっと練習しといてね」

「でも、でも、こういうところは出るって!」

 あくまで冷静な沖田に対して千鶴は半べそ状態だった。遊園地にある幽霊屋敷、お化け屋敷には本物がいる。有名なところだと浅草の某遊園地だったり、プールが有名な某遊園地だったりするのだが……。またこういう話が沖田や藤堂は大好きだったりする。それを事前に散々聞かされているのだ。千鶴は一刻も早くこのいまわしい場所から離れたくて仕方なかったのに……。

「うーん、そう聞くよぉ。ああ、この人に変なことがないか、聞いてみようか?」

 血のりべったりのゾンビのようなメイクのスタッフの元へ、行きたくないと足を踏ん張る千鶴の手を引いたままで、沖田が近づいていく。

「やだ、やだ!! 総司さん、総司さん! 本物だったらどうするんですか! いやぁ!」

「スタッフだから平気だよ。それに本物でも大丈夫(^^♪」

 沖田は完全に千鶴の反応を面白がっていた。今日の為にいろいろ怪談話を仕入れてきてよかったと内心ほくそ笑む。なにより沖田や千鶴が通っている薄桜学園は出来たばかりの新設校で、いわゆる学校の怪談のような話が全くないのだ。

 それはそれでつまらないものである。学校の怪談など、どんな学校でも似たりよったりではあるのだけれど、なんだか損をしたような気分がする。

 そんなことでも盛り上がることができるのは学生の特権だからだ。

「ほら、千鶴ちゃん。話を聞こうよぉ~」

 今や千鶴は沖田に抱きついたままで、てこでも動こうとはしていなかった。

「嫌です! 今夜、思いだしたりしたら、そ、総司さんが責任持ってくれるんですか!!」

 互いの顔を見比べるのがやっとというようなぼんやりとした薄明かりの中で千鶴が段々と真面目に泣きに入りはじめてきている様子が見えた。

「今夜、僕の家に泊まるとか? それとも千鶴ちゃんのうちに泊めてくれるとか!?」

 その一言に千鶴は一瞬恐怖を忘れて、ボン! と音を立てて赤くなった。

「そ、そん、そんな、こと、でき、ません……」

「なーんだ。つまんないの?」

 がっかりしているのか、していないのか、よくわからない様子で沖田は嫌がる千鶴を半分だっこちゃん状態のまま抱え込んでスタッフへ声をかける。

「ねぇ、こーいうところで仕事してるとやっぱわけの分かんないこととかある?」

「そ、総司さん!! きゃー、きゃぁ!!!」

 千鶴は自分の悲鳴でお化け屋敷のなかで行われようとしている怪談話を聞こえないようにすることにしたようだ。

「千鶴ちゃん。うるさい子は嫌われるよ。ねぇ、ねぇ、なんか面白い話とかない?」

 このカップルは何なんだと半ば思いながら、しばし、仕事を忘れてそのスタッフは考え込んでしまった。

続く

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